5巻の冒頭、夜中に小さな事件が起きる。藁の中に転がったランプから火が上がり、女性が叫び、家族が次々と飛び出してくる。ほんの数十秒の出来事だが、当時の暮らしの緊張感がよく出ている場面だ。
寝間着のまま飛び出してくる家族
飛び出してきた男性は、いつもの赤いベストと緑のシャツではなく、白いシャツに青いズボンという軽装だった。上着もエプロンもない。これは作画のミスというより、「取るものもとりあえず飛び出してきた」ことを服装の乱れで表現した演出だと考えられる。
火元に一番近いのは、直前にランプを持ってカトリを起こしにきた女性だ。おそらく彼女がランプを不注意に置いたか、落としたことが出火の原因になっている。
ランプと隣り合わせの暮らし
電気のない時代、明かりはすべて火だった。夜、誰かを起こす、厩を見回る、サウナへ向かう——生活のあらゆる場面にランプが登場するが、それは同時に、常に失火の危険と隣り合わせだったということでもある。
今回は大事に至らず騒ぎだけで済んだようだが、この一場面だけで「当時の照明事情」がまるごと伝わってくる。カトリという作品の、生活描写の細かさを感じる場面だった。